日本思春期学会


ごあいさつ

第45回日本思春期学会総会・学術集会
会長 渡邉多恵子
淑徳大学看護栄養学部看護学科/大学院看護学研究科 教授
渡邉多恵子, taeko Watanabe


第45回日本思春期学会総会・学術集会を、2026年8月29日(土)〜30日(日)の2日間、幕張メッセ国際会議場(千葉県千葉市)にて開催させていただくことになりました。

 日本思春期学会は、産婦人科、小児科、泌尿器科、精神科、公衆衛生をはじめとする多くの領域の医師や保健師、助産師、看護師、大学・短大・専門学校教員、高校・中学・小学校教員、養護教諭、心理・福祉関係等、2000名を超える学会員で構成された、歴史ある学際的な学会です。
 第45回学術集会のテーマは「思春期学のみらい〜共に創る支え合いの社会をめざして〜」としました。思春期は心身の変化とともに自らのあり方や生き方を模索し、不安や迷いに揺れ動く時期です。日本思春期学会は1963(昭和38)年の思春期医学シンポジウム設立依頼、分野を越えた知のネットワークを築き、この時期の若者たちに寄り添うための研究と実践を重ねてきました。その歩みは多くの先達の情熱と努力の積み重ねによって形づくられた、かけがえのない財産です。それから60年余の時を重ねた今、社会は急速に変化し、人々のつながりや構造、価値観、生き方までもが一層多様化しています。思春期を取り巻く環境も日々姿を変えています。本学術集会では、これまでの成果を振り返りながら、その先に広がる「思春期学のみらい」を、ご参加いただくすべての方と共に描いていきたいと考えています。
 プログラム内容の一層の充実をめざし、多領域の最新知見を提供する講演や研究発表だけでなく、実践活動についても積極的に発表いただける場を整えてまいります。臨床、教育、地域、文化など、多様な現場の声が響き合う学会をつくりたいと考えています。
 思春期を捉えるためには、これまでもこれからも専門領域を越えた複合的な視点が欠かせません。そこには数値やデータでは捉えきれない感情や葛藤、思いがあると考えます。私がその一端に触れたのは「小説」の中でした。迷いながらも一歩を踏み出す登場人物の姿に励まされ、作品中の言葉に背中を押されて、思春期を乗り越えてきました。登場人物の生き方が道しるべとなったことさえあります。物語は、現実のどんなものよりも鮮やかに、思春期の心を映し出すことがある、そう考えています。そのような経緯から、本学術集会では、文学と思春期を交差させるセッションを企画しました。思春期の理解をより豊かに広げる試みです。ぜひご期待ください。
 最後に、大会長という大任をいただいていますが、私はまだまだ未熟です。しかし、この未熟さこそが、他者に学び、共に創り上げるための余白だと信じています。支え合いの社会は、一人の力ではなく多くの力が集まってこそ形になります。どうか皆さまの知恵と情熱をお寄せいただき、思春期学のみらいを、夏の幕張で共に描いてまいりましょう。そして、この二日間が、ご参加いただいた皆さまの胸に、小さくても確かな物語を残す時間になることを心より願っています。

皆さまとお会いできる日を、楽しみにしております。
多数のご参加を心よりお待ちしております。